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こころは太陽のように騒がしく燃え、同時に静かに“そこにある”月のようでもある。
by sunday_carpenter
雨は未だ雨
雪が降ってると信じ目覚めて煙草も吸わず、部屋のドアを開ける。

う〜ん、天気予報は外れてました。まあしゃーないわ。

昔の恋人から年賀状が届いていました。
随分とあっさりとした内容に妙な肩透かしを食らいつつも、よくよく見るとそのお手製の年賀状がかなり凝った作りになっていることに気が付き、嬉しくなる。
なんて云うか、「あいつこんな事も出来るようになったんか」とかそんな具合に。ほっこり。

仕事中も入れ替わり立ち替わりやってくる生徒さんに毎度「どうですか雪降ってますか?」と。ええ子供のようです。相当、楽しみにしてたみたいですわ、俺。

「ちょっと地下へ行って喉を潤してくるよ」と先輩に云われ、「ええ、どうぞ」と返す俺ともう一人の同僚。
凡そ20秒後、「ちょっとトイレに行って一発抜いてくるわ」と頗る真面目に俺。
「この職場でそんな発言は初めて聞いたし、これから先も聞くことないよ」と同僚。
きっと今までこんなふうにやってきた、そんでこれらか先もこんなふうにやってゆく。

本と煙草を持って、たっぷり湯を張った熱い風呂に入るか。

ちょっと痩せんとな。なんて柄にもないことを思う三十路前。
# by sunday_carpenter | 2009-01-09 21:47 | DIARY
潤む夕暮れの月
目覚めてから覗いた携帯電話に新着メールのお知らせがあった。
届いたメールには一言「別れた」とだけ書かれており、当たり前なのだが1秒で送り主が"別れた"事だけ分かった。
休日の朝には早過ぎる午前9時前、昨夜からの冷え込みが続き俺は布団から出る事はなく、寧ろ、寝相で足下にやられた毛布をもぞもぞと芋虫のように不器用に体へと巻き付ける。
きっと往来ではいつもの俺のように定時の電車に乗り遅れないよう足早に、中には駆け足の人々が居た。勿論、実際にこの目で見たわけではなく、ましてや予感とか直感とか大それたものでもなく、事実"ただ、そうなんだ"。
のんきで長閑なように見えるかも知れないこの時間、俺は頭から包まった布団の中で生温かい呼吸のせいで曇った携帯電話の画面を何度も手で拭い、メールへの返事を考えるべく年相応とは云えない気遣いを捻り出していた。
携帯電話の画面を30回は拭っただろう、結局気遣いが邪魔をし、なにも言葉には出来ず焦った俺は、血迷った俺は、仕事中で出れる筈のないメールの送り主に電話をかけてしまう。
呼び出し音が鳴りきる前に切ろうと思っていたのだが、呼び出し音が無機質な女性のアナウンスに変わり、変わったら変わったらで留守電になにか残そうと思い、出かけた言葉を遮り0.1秒の判断が咄嗟に電話を切らす。
徐に頭を布団から出し冷たく澄んだ部屋の空気を吸う。そして煙草を一本。
簡単なことだった。俺は早くも冷たくなった指先でゆっくりとメールを返す。
一言「別れた」の報告を「そうか」と聞き入れ、「そっちに行こうか?」と付け加え軽く俺の存在を主張した。

その男は真夏の晴れた空みたいに気持ちが良い。
俺が去年失恋をした時、「これ聴くといいぞ」とbloodthirsty butchersの『Untitled』と付けられたタイトルの曲をくれた。
正に「これ聴くといいぞ」だった。
桜木町のふたりの新居にお邪魔させてもらい、何年も話だけに聞いていた恋人を俺に紹介してくれた。
その時の照れながら俺と恋人とふたりに気を使う彼はとてもかっこ良かった。
いつも素直で嘘も下手で、どこか調子っぱずれだけど心を抉る歌を歌い、紆余曲折ありながらも一人の男を愛し続け、飼い犬の前でが馬鹿親になり、根性が有るようで無く、自分に甘く人にも甘く、いつもお腹の具合が悪くって、他人の不幸を悲しみ、幸せを喜ぶ、あげてゆけば切りがない程、彼は魅力に溢れている。
「俺、捻くれてるからなぁ」と真っ直ぐな彼が真っ直ぐ前を見ながらに云う。
やはり真夏の晴れた空のような男なんだ。

どうやら明日は雪がこの東京にも積るらしい。
大気に舞う綿雪がここでは少し黒く濁っていて埃に見える。
どこかで疑いながらも嬉しいこの気象庁の予報を信じて今夜は眠りにつこう。
# by sunday_carpenter | 2009-01-08 23:28 | DIARY
犬は吠えるがキャラバンは進む
"優しくて力強く、人を信じ、花を愛し
感情を殺し時に爆発させ、全てを欲するその純粋さ"


どんなに落ち込んでようが、俺は彼の笑い声で元気になれる。

と、これは昔の話であります。

でも同時にこれは今の話でもあります。
"彼"が当時の"彼"じゃなくなっただけ。

紅茶が大好きな俺とコーヒーが大好きな彼と、地下鉄の出口と小さな森の抜け道と
或る晴れた日の通り雨と土曜日の深夜放送と、鼻血の後の丸められたティッシュと脱ぎ捨てられた靴下と
ウサギの鳴き声と子供の足音と、冷蔵庫の霜と明け方のコンビニと
飛行船が浮かぶ確率とアイスランドで望む岸壁と、君が話す真実と俺の語る絵空事と

全く違うものが実は同じ事なんじゃないかと俺は思う。

そうだ、今日はカレーに生卵を入れて食べたんだ。
とても懐かしい味がした。
とても優しい味がした。

寒い日は意味もなく理由もなく空を見たい。

犬は吠えるがキャラバンは進む!
# by sunday_carpenter | 2009-01-08 00:10 | DIARY
理由なき感情
彼が恋人とバカンスを楽しんで、俺はその話を電話で聞き、少しの嫉妬をも巻き込んで楽しんだ。

そわそわしている。

わくわくしている。

悔しいが俺は未だ彼に惚れている。

胸がもぞもぞしている。
# by sunday_carpenter | 2009-01-05 00:12 | DIARY
2009年、空中庭園
今朝、靴ひもを縦に結んでいた。

2009年、初春。

年は明けたがあまり変わりはないようで、かじかむ指先が"例の如く"結んでいた。

強い決意ではない、一瞬の閃きだ。

「二十代最後となるこの一年を俺は静かに生きよう」

仕事が終わり大きく欠けた月を眺めながら煙草を吸い、俺は孤独なんてもんを久しぶりに感じてみた。
清々しさもなく、寂しさもなく、街灯に照らされ延びる影。
あるものは俺だけ。

誰かが俺を呼ぶ声。
「ああ、そうか。そんなもんはないんだ。」

静かに、静かに、吠えるとしよう。
# by sunday_carpenter | 2009-01-03 23:31 | DIARY